タイトル
著者 |
ジャンル |
出版社 |
発表年(初出) |
ますらお
(全8巻)
(文庫版全5巻)
北崎拓 |
少年サンデー |
小学館 |
1994〜96 |
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数ある義経マンガのなかで個人的にダントツのおすすめ作品。愛を乞いながらも人を傷つけてしまう「荒ぶる少年」遮那王の苦悩が克明に情感豊かに描かれていて、心理ドラマとしても秀逸な上、絵が非常に美しく力強く躍動感があり、シーンごとにいちいち見とれてしまいます。切れ長の目の遮那王のなんと麗しいこと!読者を引き込んでゆくオリジナルエピソードも盛りだくさんで読みごたえがあります。粗野だけど熱くて一途な郎党たち、義経を執拗にライバル視する平維盛、優しい笑顔で義経を翻弄する頼朝など、脇を固めるキャラクター勢もみな個性的で魅力たっぷり。…なのに!こんな名作が打ち切り処分…あまりに尻切れトンボな終わり方。(一ノ谷合戦後あたり)未完の作品ですが完成度は高く愛読者も多い。ぜひとも再開を!
★★★★★
そして時は流れて2014年…まさかまさかの18年ぶり「ますらお」復活!(下記項目)「ヤングキングアワーズ」にて連載再開(14年2月号〜)。嬉しすぎ! |
ますらお 秘本義経記
〜大姫哀想歌〜
(第1巻)
北崎拓 |
ヤングキングアワーズ |
少年画報社 |
2014 |
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北崎先生ありがとう…!「ますらお」をもう一度描いてくださってありがとう…!!
18年の時を超え、当時の魅力はそのままに、ますます強く激しく美しくブラッシュアップされた新「ますらお」。これ以上好きになれないくらい好きだったますらお義経を、さらにもっとずっと好きになってしまいました。変わらなさが嬉しい弁慶・三郎・常陸坊に佐藤兄弟、美しさ大増量のキレッキレ静、いろんな意味でキレッキレ頼朝…皆愛しい。もちろんこの巻の「主役」大姫と義高も…。これほど生々しく胸に迫る、残酷なおかつ可憐な大姫義高物語はほかにない。コミックス書き下ろしの雑談ページには連載再開についての北崎先生の思いがつづられていて、ますらおファン必読です。華麗なカラーページが連載当時のままコミックスに収録されてるのもポイント高い。とくに意味深い巻末カラーページ…。続編となる屋島編「波弦、屋島」もヤングキングアワーズ2015年2月号より連載再開されて嬉しい限り。
★★★★★ |
修羅の刻
(7〜10巻)
川原正敏 |
少年マガジン |
講談社 |
1997〜98 |
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非力だけど素直でピュアな愛されキャラ義経とメチャクチャ強いワイルド弁慶、そして謎の青年武道家「陸奥」らが活躍するバトルチック少年マンガ。アツい内容ですが、シンプルな絵柄と大きなコマ割りのためか、ストーリー展開はゆったり大らかな印象。時代考証が徹底していてためになります。ちなみにここに出てくる頼朝と政子は目もあてられぬ極悪夫婦。特に政子の徹底的な悪人ぶりは他作品ではとうていお目にかかれません。政子ファン激怒必至。
★★★ |
源平伝NEO
(全4巻)
原作・あかほりさとる
画・別天荒人 |
少年エース |
角川書店 |
1999〜01 |
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あかほりさとる氏の同名小説のコミックヴァージョン。源平キャラを現代高校生に置き換えての学園サイキックバトル。ラブコメ要素が濃く、軽いノリで楽しめます。頼朝、義経兄弟が正統的にカッコ良く描かれててうれしい。頼朝はクール系イケメン、義経はカワイイ系の美少年でモテモテです。モテモテなのに硬派なシャイボーイ、というのがまたいい。源平マイナーキャラもきちんと取り上げられてて、おちゃらけた作風ながらけっこう綿密かつ斬新な設定が張りめぐらされていてぐっときます。ただ、これも打ち切りっぽい終わり方で残念…
★★★★ |
遮那王義経
(全22巻)
沢田ひろふみ |
少年マガジン |
講談社 |
2001〜07 |
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2004年度講談社漫画賞受賞!
旅芸人の元気な少年・漂太がひょんなことから病弱な源氏の御曹司・牛若と入れ替わり、おごる平氏に立ち向かってゆく物語。お子様向けお下劣ギャグに友情・努力・勝利の3点セットがそろった典型的ストーリー展開…ベタな少年マンガ歴史絵巻かと思いきや、時代背景や設定などかなり緻密に描かれていて、個性豊かなキャラクター達も魅力的、独創性に富むエピソードが盛り込まれ、読み出すとぐいぐい引き込まれます。今後が楽しみな只今連載中の作品。
★★★ |
遮那王義経・源平の合戦
(全29巻)
沢田ひろふみ |
少年マガジン |
講談社 |
2007〜15 |
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上記作品「遮那王義経」の続編となる“源平の合戦”編。奥州に身を寄せ源氏再起の時を待つ漂太こと義経のもとに伊勢三郎や弁慶、佐藤兄弟など個性豊かな男達が集い、またドジっ娘・ツンデレ・クールビューティーなどオリジナル女の子キャラも多数登場し、寄ってたかって義経を取り合います。これぞ少年マンガの醍醐味。この新シリーズは、そんな義経のもとに頼朝旗揚げの報が届くところから始まります。明るすぎる義経(漂太)のキャラはイマイチ萌えませんが、皆から愛され慕われる元気な義経というのはやっぱり見てて気持がいい。史実を離れたサイドストーリーのおもしろさもこの作品の大きな魅力です。打ち切りの憂き目に遭うことが多い「源平モノ」漫画の中、おそらくこれは最長連載の作品。完結を見届けられて幸せです。序盤の頃のおもしろさを思い返すと、ずいぶん急ぎ足かつ尻すぼみな寂しい終わり方を迎えてしまったな、というのが正直な感想ではありますが。
★★★ |
破戒王
〜おれの牛若〜
(全5巻)
たなかかなこ |
ヤングジャンプ |
集英社 |
2003 |
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牛若丸は実は女のコ、という設定のアクション漫画。義経女性化は基本的に認めない私ですがこの牛若はOK!だってむちゃくちゃカワイイから。キリリと凛々しく勇ましく、なおかつ純情でナイーヴな絶世の美少女。五条大橋を根城に悪行の限りを尽くす破戒僧・弁慶は、そんな牛若にメロメロに…平家を倒せば牛若の「処女」をいただく、という条件で源氏に力を貸すことに。色情魔の大男とストイックな美少女、という組み合わせはギリシャ神話のオリオンとアルテミスのようで興味深い。ただ、青年向けコミックなのでエログロ満載。それも目を背けたくなるレベルの。おまけに登場人物も皆イカレてる、とくに平家の面々。「イメージぶち壊し!」と目くじら立てるよりこれはもう開き直って楽しむべし。と思ってたらアララ打ち切り…(鞍馬を出て奥州に旅立つシーンで終了)。ああもったいない。たなか氏描く頼朝が見たかったのに!きっと相当アブナイおいしいキャラになってたでしょう。
★★★★ |
源平天照絵巻 痣丸
(全4巻)
玉置一平 |
月刊コミックフラッパー |
メディアファクトリー |
2004〜05 |
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義経、弁慶、義仲…死したはずの源氏の者が不気味な仮面武者としてよみがえり暗躍する!主人公・悪兵衛(平景清)と巴御前がそんな不死身の源氏武者らと戦う物語。「痣丸」とは悪兵衛が持つ剣の名で、実は壇ノ浦で沈んだ草薙剣のこと。単なる源平物ではなく日本神話にまでさかのぼる壮大な伏線が張られていて今後の展開がすごく楽しみ…と思ったらこれも打ち切り。ガックリ…。戦闘シーンなどかなりリアルで過激な描写ですが、スタイリッシュな絵柄のためかさほどグロテスクじゃない。キャラクターたちの台詞やファッションもやたら現代的で(巴御前はショートカット!)、ヘヴィな内容とライトなノリが妙にマッチしてます。ちなみに義経は残酷なクールビューティーながら随所に人間くささを垣間見せてくれる「おいしい」悪役美形です。
★★★ |
義経ちゃん剣風帖
(全3巻)
小野寺浩二 |
ヤングキング |
少年画報社 |
2005 |
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邪悪な陰陽師・鬼一法眼によって封印されていた平安のヒーロー源義経が、平成の女子高生・静流の眼鏡(←なぜ?)に転生。静流は戸惑いつつもそんな義経のため鬼一法眼の放った刺客相手に白拍子姿で戦います。その敵はといえば、猫耳フェチにドジッ子フェチ、おさげフェチなど見るに耐えない変態妖怪どもばかり。なぜか犬に転生してしまった弁慶、プレッシャーに弱い“日の丸恐怖症”那須与一など脇を固めるキャラクターも強烈。下ネタギャグてんこもりのひたすら下品な「萌え」漫画です。でも、おもしろい…結構好きかも?ガラっぱちの熱血野郎・義経のキャラがいい。名乗りをあげて現れる平家の亡霊どもを「モリモリ(盛盛)うるせえ!」と叩き切るシーンなど最高に笑えます。しかしながら最終巻では義経の孤独な魂を救うべく戦う静流や弁慶たちの姿に不覚にも泣けてしまいました。笑わせておいて最後に泣かせるなんてニクイです。
★★★★ |